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2024.06
表彰
このたび、令和5年度土木学会賞において当社が下記内容について技術開発賞を受賞いたしましたのでお知らせいたします。
受賞名
受賞者
渡辺 健(株式会社ハイドロ総合技術研究所)
南 良忠(株式会社ハイドロ総合技術研究所)
山内 翔太(株式会社ハイドロ総合技術研究所)
藤田 一郎(一般財団法人建設工学研究所)
出口 恭(株式会社ニュージェック)
近年の豪雨災害の激甚化に伴い、洪水時でも安全に、ピーク流量を逃さずに観測できる手法として、画像解析による流量観測の実用化への期待が大きくなっている。
Hydro-STIVは、河川監視カメラの映像を用いて河川の流速・流量を計測する技術で、HWLを超えるような大規模な洪水時でも安全に流量観測を実施できる革新的な手法である。画像解析による流量観測の既存の課題点を克服し、トレーサーとなる浮遊物等が河川に存在しなくとも、夜間や豪雨時の不鮮明な画像でも安定的に、あらゆる環境下で流速・流量の観測が可能となっている。さらに、AIを導入したことで、自動的かつ高速のSTIV解析が可能となり、無人で自動の流量観測が実現し、リアルタイムの流量観測が実用化された。
国土交通省の水管理・国土保全局主導の「次世代型流量観測検討会」における実河川を対象とした現地計測においてもHydro-STIVの精度・実用性が高く評価され、令和5年3月に公表された「非接触型流速計測法の手引き(案)」においては、Hydro-STIVによる流量観測が大きく取り上げられている。
さらに、同技術は海外の競合技術に対しても優位とされ、アメリカのUSGS (米国地質調査所)といった先端技術を扱う機関から、インドネシア等の東南アジアの発展途上国まで、Hydro-STIVを採用して流量観測が行われており、我が国が開発した世界で活用される技術として大いに誇るべきものである。
以上の通り、Hydro-STIVは今後の流量観測を一手に担う非常に有用な技術であり、土木学会技術開発賞に値する。
公益社団法人 土木学会が主催する1920(大正9)年に「土木賞」として創設されて以来、100余年の伝統に基づく権威ある表彰制度です。
なかでも「技術開発賞」は、計画、設計、施工、または維持管理等において、創意工夫に富むと認められる技術(情報技術、マネージメント技術を含む)を開発、実用化し、土木技術の発展を通じて、社会に貢献したと認められる者に授与される賞として位置づけられています。
従来の流量観測手法は、平水時には河川に直接立ち入って流速計を水中で使用し、出水時には浮子を投下して流下を目視で確認する方法であった。それに対して、映像を用いてSTIV法により流速・流量を計測する本手法では、河川付近に立ち入る必要がなく、離れた安全な位置から河川の撮影を行うことで作業が完了する。
画像解析による流速計測法は、他にもLSPIV法等が知られているが、計測できるのは流下物や明瞭な波紋が発生している状況に限られ、さらに、その動きが鮮明に撮影されている必要があるため夜間や豪雨時には適用できない課題点があった。一方、STIV法はわずかにでも流れの様子が撮影されれば計測可能であるため、低水時から高水時まで幅広い条件で適用でき、幅広河川でも1台のカメラで計測可能で、夜間や豪雨時の計測も問題なく、河川への適用性が非常に高い。
さらに、STIVの発明者である藤田一郎神戸大学名誉教授を研究顧問として、最新のSTIV法を研究するとともに、近年発展著しいAIによる画像分析技術を駆使して、より高精度かつ安定的で実用性の高いSTIV法を生み出した(特許第6910506号)。この手法により、専門の技術者以外でも容易にSTIV法を取り扱うことのできるようになり、映像による流速・流量計測システム「Hydro-STIV」として、幅広く導入が進んでいる。
特許第6910506号
登録番号:KK-220021-A
河川水流測定装置、該方法および該プログラムならびに記録媒体
特許情報プラットフォーム|J-PlatPat [JPP] (inpit.go.jp)
<NETIS(新技術情報提供システム)登録製品>
登録番号:KK-220021-A
技術名称:流速・流量計測システム【Hydro-STIV】
NETIS(新技術情報提供システム)
ハイドロ総合技術研究所 営業部
TEL:06-6479-3811